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| 図 1. HCl の赤外吸収スペクトル |
0)
に対応するが、HCl 分子の回転状態による分裂が見られる。
回転速度によって、原子間距離が変化しないという近似 (剛体回転子近似)
のもとでの回転運動の量子力学による解は以下のようになる。
(J : 回転量子数 = 0, 1, 2, ...) (1)
(2)
(エネルギー単位),
(波数単位)
(3)
(
: 換算質量、r : 核間距離)
(4)
(5)
|
[問題 1-3] 回転線強度が (5) 式に比例することから、この式を変形して、 いくつかの回転線強度に関するプロットの傾きから温度を決定する式を書け。 (これをボルツマンプロットと呼ぶ) P(J ) あるいは R(J ) の一連の回転線の強度から、 この測定が行われた温度を推定せよ。 回転線の強度は表 1 の値を用いてよい。 回転定数には B = 10.4 cm-1 を用いよ。 |
*波数単位 cm-1 はエネルギーと線形な単位であるために、
分光学では波長よりも、好んで使用される。
またしばしばエネルギーの単位としても使われる。 振動数
の光子1個のエネルギーは
h
、 振動数
と波数
との関係は
=
c 0
(c 0 は真空中の光速) である。
| Line | Position / cm-1 (H35Cl) |
Intensity (H35Cl) |
Position / cm-1 (H37Cl) |
|---|---|---|---|
| R7 | 3030.09 | 0.0267 | 3027.79 |
| R6 | 3014.42 | 0.0485 | 3012.13 |
| R5 | 2998.05 | 0.0779 | 2995.79 |
| R4 | 2981.00 | 0.1101 | 2978.76 |
| R3 | 2963.29 | 0.1349 | 2961.07 |
| R2 | 2944.91 | 0.1399 | 2942.72 |
| R1 | 2925.90 | 0.1166 | 2923.73 |
| R0 | 2906.25 | 0.0658 | 2904.11 |
| P1 | 2865.10 | 0.0617 | 2863.02 |
| P2 | 2843.63 | 0.1026 | 2841.58 |
| P3 | 2821.57 | 0.1156 | 2819.56 |
| P4 | 2798.94 | 0.1046 | 2796.97 |
| P5 | 2775.76 | 0.0802 | 2773.83 |
| P6 | 2752.04 | 0.0533 | 2750.14 |
| P7 | 2727.78 | 0.0312 | 2725.92 |
| P8 | 2703.01 | 0.0162 | 2701.19 |
*注 : 各回転線の横にある強度の小さいピークは H37Cl によるものである。 この問題ではこのピークは無視してよい。